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ある日の桜上水中学校のグラウンド。日が落ちて薄暗くなり、決められた下校時間が近づいている。 部活の片付けを終わらせた水野と風祭、佐藤が部室から出てくると、 ちょうど女子サッカー部の更衣室から小島が出てきた。

「お疲れさまー」
「お疲れ」
「お疲れ様」
「お疲れさん」

小島が水野達に挨拶をして校門の方へ向かう。 がしかし、小島が突然「あ!」と声を発し、足を止め振り向き水野達に言った。

「忘れるところだった」
「何が?」
「あんた達明日トレセンで明日から合宿行くんだよね?」
「そうだけど。どうかしたのか?」
「友達が、そのトレセンに行くことになったらしいんだよね」

よろしく言っといて、と小島は言い終えるとすっきりした表情をしていた。 それとは正反対に、疑問だらけで困惑した顔を見合わせる水野と風祭。 佐藤は話を聞いているのかいないのか、興味無さそうにしている。
少し考えた後に、水野は言いづらそうに口を開いた。

「そのダチって…もちろん男だよな」
「女の子に決まってるじゃない」
「はぁ? 何で女子がトレセンに来るんだよ」
「知らない。本人も理由がよく分かってないみたいだったし」
「なんだそれ…。サッカー上手いから特別に呼ばれるって事?」
「その辺はわかんないけど、サッカーはかなり上手い方よ。見た目は佐藤に似てるかな」
「へぇ、そりゃ見る価値有りやな」
「でもシゲさん見れないですよね」

風祭が苦笑して言うと、佐藤は「嫌味な奴っちゃな…!」と言って風祭の首を締め付ける。 その行動を止めもせずに「よろしく」と言い残して小島は下校して行った。
風祭たちも理解しきれていないが、まぁいいかという感じで下校することにした。


トレセン合宿前日。
選抜に選ばれたメンバーはこれから起こる事を知らずに、来たるトレセン当日を待ちわびていた。

2003.03.08 / Top | 01:Kick Off →